可視光半導体レーザー応用に関する研究

担当:山本和久、石野正人、藤寛、眞鍋由雄

主として可視光半導体レーザー応用を企業と連携しつつ行っています。走査型レーザーによる照明、表示、計測、給電、通信を一体化するIoTステーションの基盤検討と各技術研究を行う他、空間計測(LiDAR)とその応用(害虫・雑草駆除等)、高輝度レーザー照明、高画質レーザーディスプレイ、空中サインシステム等の応用展開を行っています。

IoTステーションイメージ

空間計測(LiDAR)とその応用(スマート害虫・雑草駆除等)

可視光走査型レーザーによる3D計測を行い、物体、人間検出などをロボット関連企業と共同で行っています。またその応用として、スマート害虫・雑草駆除技術の開発にも取り組んでいます。

人間3D検出イメージ

レーザー害虫駆除システム:半導体レーザー光によって殺虫剤を使わずに害虫を撃ち落とす

従来の害虫駆除は化学薬剤に依存していましたが、近年では害虫が薬剤抵抗性を持つようになり、その効果が薄れてきました。農業では、世界の農作物生産額165兆円のうち、26兆円が害虫や害獣による被害で失われています。これを受けて、新たにレーザー光を用いた害虫駆除法が注目されています。この方法は、薬剤抵抗性を持つ害虫を効果的に駆除できる点で有望です。

具体的には、ハスモンヨトウという蛾を対象に、画像検出技術で飛行位置を追尾し、青色半導体レーザーで撃ち落とすことに成功しました。高速画像認識とレーザー照射技術を組み合わせることで、害虫を迅速かつ正確に駆除することが可能です。実験では、ハスモンヨトウの急所が胸部や顔部であることが確認されました。

このレーザー駆除技術は、レーザービームを害虫のみに照射するため無農薬であり、環境への影響が全くないという特徴があります。そのため、他の害虫も化学薬剤を使わずに駆除することができ、食糧危機の解決にも寄与すると期待されています。

スマートレーザー雑草除去システム:半導体レーザー光によって農薬を使わずに雑草を除去する

上記技術は雑草除去にも応用できます。画像認識技術とレーザー照射技術を組み合わせて、雑草の急所に効率良く青色半導体レーザーを照射することにより、無農薬で雑草を除去する方法の開発にも取り組んでいます。

スマートレーザー雑草除去システムイメージ図

高輝度レーザー照明

青色半導体レーザーを蛍光体に照射することで高輝度な混合白色光が得られます。自動車産業の方々と先進ヘッドライトなどへの応用を共同研究しています。また将来の自動運転に向けた注意喚起照明も研究しています。

高画質レーザーディスプレイ

走査型レーザープロジェクタの高画質化において障害となるレーザーのスペックルノイズ(干渉により生じる)の対策、そして企業と協力して国際標準化を行っています。

レーザー空中サインシステム

当研究室ではレーザーとドローンを用い、大空のいかなるところにでも必要な情報を投影することが可能な「レーザー空中サインシステム」の開発を行い、EXPO2025の会場となる大阪夢洲の地で2023年実証実験に成功しました。現在この技術をさらに進化させています。

本技術の応用は空中広告やイベントでのアトラクションにとどまらず、災害時の避難誘導や防犯さらには山岳遭難や海難事故の救助支援まで適用できます。 自動運転車が普及し、ドローンが飛び交う未来社会においては、さらに進化した「レーザー空中サインシステム」が社会インフラで重要な役割を担うことが期待できます。

レーザー空中サインシステム概要
レーザー空中サインシステムのデモンストレーション 場所:夢洲(万博予定地)

研究グループ